東通り自由帳

暮らしと娯楽のハイライト。

僕らはみんなおおかみこども

おおかみこどもの雨と雪』、1日に109シネマズで鑑賞。
(あ、前情報なしで見に行く予定の方は、続きを読まずにそっと離脱してください……)



作品全体は静かで心地よくて、ずっと見ていたいと感じる一方で、不安で心がざわざわするようなことが何度も何度も起きて……とにかく最後まで心を掴まれていた。
この作品を一体どう受け止めたらいいのか、すぐには分からなくて……
一晩くらい経ってようやく腑に落ちたというか、自分の受け止め方を見つけた。
これは「マイノリティ賛歌」なんだ、と。

生きていく中で「自分はふつうじゃない」という感覚と付き合う人は結構いっぱいいるんじゃないかと思う。僕も子供の頃からちょっとしたマイノリティ要素の持ち主であるし。
この物語の中では、“おおかみこども”という本当に特別な存在として生まれた雨と雪が、花(お母さん)にしっかり守られながら、12年の年月の間に自分のしたい生き方を選び取ってゆく。
戸惑いや負い目を感じる時もあるだろうけど、いつも味方でいてくれる人がきっといる、だから堂々と道を選んでしっかり生きて。
──そんな風に作品から言ってもらえたのだと受け取ると、なんだかちょっと元気が出る。

エンドロールの歌で不意に涙がこぼれそうになって、若いカップルの隣の席で、照明が点く直前にこっそりハンカチを目に当てた……。


花さんが繊細そうに見えて実はあんまりにも人並み外れて強いお母さんで、そうでないと成立しないような筋書きなので、そこを愉快に思わない人がいても無理ないなーとは何度も思いました。
細田監督作品って、「田舎」とか「大家族」とか「母親」とか、「それイコール幸せの象徴みたいに語られることがあるけど実際いろいろあんのよ」的な微妙な要素に対して、いいところだけを抽出して描くようなとこありますよねー。
意図的になのか無邪気になのかは知らないけれど、と無邪気に書いてみる。